契約書作成の基礎知識



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■契約の種類
■契約書に記載する事項
■契約の相手方に関する注意点
■定めた方が良い条項

契約の種類

契約とは、当事者の相対立する意志表示が合致することによって成立する法律行為のことです。
また契約は、民法521条から696条では次の13種類が有名契約(典型契約)として定められています。

移転型贈与・交換・売買
貸借型消費貸借・使用貸借・賃貸借
仕事型雇用・請負・委任・寄託・組合
その他終身定期金・和解

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契約書に記載する事項

  • 契約の種類・・・売買なのか請負なのか、消費貸借なのか賃貸借なのかなどを明確にします。
  • 当事者・・・・・誰と誰の契約なのかを、明確にします。
  • 目的物・・・・・目的物が金銭なのか品物なのかなどを、明確にします。
  • 期日・期間・・・代金の支払い期日や賃貸借期間などを明確にします。
  • 条件・・・・・・解約の条件などを明確にします。
  • 対価・・・・・・対価の額をします。
  • 支払方法・・・・支払い方法を明確にします。
  • 契約成立年月日・いつ契約が成立したのかを明確にします。

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契約の相手方に関する注意点

契約の相手方に関する注意点は以下の2点です。

法人と契約する場合法人は代表者の行為のみが、法人の行為とみなされるので、代表者と契約する。
代理人と契約する場合代理権の与えられていない無権代理人との契約は、追認が無い場合、無効となります。

なお、代表者とは、法律上は、代表者として登記されている者をいいます。
したがって、代表権の有無は登記事項を確認することでわかります。
また、代理人と契約する場合は、委任状や(代理人ではなく)本人の印鑑証明書を提出してもらう必要があります。

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定めた方が良い条項

なるべく定めた方がよい条項としては、次のようなものがあげられます。

危険負担
危険負担とは、家などの売買契約などで、契約後引渡し前に、落雷などによって家が破損した場合などに売主と買主のどちらが責任を負うかという問題です。
住宅などの売買では、必ず定められる項目です。

期限の利益の喪失
一定の場合(債務者が支払いを怠ったときなど)に期限の利益(支払期日までは、支払わなくても良いという債務者の利益)を失わせることができるという条項です。
例としては次のようなものがあげられます。

第○条(期限の利益の喪失)
乙について、次の各号の一に該当する事由が生じた場合には、何らの通知催告をすることなく、乙は本契約上の債務全額について当然に期限の利益を失い、元利金を一括して支払わなければならない。

1.支払につき3ヶ月月以上支払義務を怠ったとき
2.手形の不渡りの事実があったとき
3.その他本契約に違反したとき


債権譲渡禁止特約
債権は原則、自由に譲渡できます(民法466条)。
これは、債権者に有利である一方、債務者にとっては、自分の債務を自由に譲り渡される可能性もあります。
このような可能性をあらかじめ排除するために規定される項目です。
通常、銀行の預金通帳の約款などにもこの規定があります。
例としては、次のようなものです。

第○条(権利の譲渡禁止)
甲は、乙の事前の書面による承諾なしに、本契約から生ずる権利又は義務の全部又は一部を第三者に譲渡してはならない。


違約金
民法では、「利息を生ずべき債権について別段の意志表示がないときは、その利率は年5分(5%)をすると定められています(404条)。
したがって、何も取り決めがない場合は、それ以上の賠償を請求できません。
これと異なる利率を定める場合は、あらかじめ定めておく必要があります。
なお、現在の制限利率は下記のようになっています。


民法年5%個人と個人の取引
商法年6%個人と商人、商人と商人の取引
利息制限法年15〜21.9%金銭消費貸借など
消費者契約法年14.6%代金支払債務など
貸金業者の貸金の上限利率年29.2%


例としては次のようなものがあげられます。

第○条(遅延損害金)
乙が履行期日までに代金を支払わなかった場合には、乙は甲に対し、甲に生じた損害の賠償として、代金の支払期日から当該遅延した代金について年14.6%の利率で年365日の日割りによって計算された額を遅延損害金として支払うものとする。


保証・担保
保証や担保は主に次のようなものがあげられます。

人的担保保証人
連帯保証人
物的担保抵当権
質権等


なお、保証人と連帯保証人の違いですが、保証人の場合は、自分に請求する前にまず、債務者に請求しろと言えます(催告の抗弁権と言います)。
一方、連帯保証人の場合は、いきなり自分が請求されても文句が言えません。
つまり、連帯保証人の場合は、自分が主債務者となったのとあまり変わりがないという事です。
しかしながら、保証人の場合も主債務者に弁済能力がない場合は、保証しなければならないので、十分注意が必要です。

裁判管轄条項
契約に紛争が生じ裁判となった場合は、通常は、被告(訴えられる側)の所在地を管轄する裁判所に訴えることになっています。
これは、訴えられる側が遠方で訴えられることによる不利益を避けるために定められているのです。
逆に言うと、訴える側(原告)は、遠くの裁判所に何度も足を運ばなくてはなりません。
このような不具合を避けるため、債権者の本社所在地を合意管轄裁判所とする場合があります。
具体的には次のようなものがあげられます。

第○条(専属的合意管轄裁判所)
本契約又に関する紛争は、○○裁判所をもって、第一審の専属的合意管轄裁判所とする。

機密保持条項
機密や秘密を漏らしてもらっては困るときに定める条項です。

強制執行認諾条項
『債務を履行しない場合、強制執行を行っても良い』という文言を強制執行認条項といいます。
この強制執行認諾条項が、金銭債権の公正証書に記載されている場合、債務名義(公正証書で強制執行できる効力)を有することができます

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