建設業許可申請の基礎知識

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■建設業とは
■建設業の種類
■建設業許可を受けないとならない場合
■許可を受けなくてもできる工事(軽微な建築工事)
■営業所が複数の都道府県にある場合
■建設業の許可区分(一般建設業と特定建設業)
■指定建設業
■許可の基準(許可を受けるための要件)
■登録免許税と許可手数料
■無許可営業に関する罰則
■経営事項審査制度とは
■具体的な審査(評価)項目と評価式
■経営事項審査申請の手数料
■建設業の市場規模
■建設業の市場規模の推移
■建設業の産業特性

建設業とは

建設業とは、元請、下請その他いかなる名義をもってするかを問わず、建設工事の完成を請負うことと定められています。
具体的には、建築工事業や土木工事業、管工事業(給排水設備の工事業)や電気工事業の28業種に分類されます。

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建設業の種類

建設業は以下の28業種に分類されています

土木工事業 建築工事業 大工工事業 左官工事業
とび・土工工事業 石工事業 屋根工事業 電気工事業
管工事業 タイル・れんが・ブロック工事業 鋼構造物工事業 鉄筋工事業
ほ装工事業 しゅんせつ工事業 板金工事業 ガラス工事業
塗装工事業 防水工事業 内装仕上工事業 機械器具設置工事業
熱絶縁工事業 電気通信工事業 造園工事業 さく井工事業
建具工事業 水道施設工事業 消防施設工事業 清掃施設工事業

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建設業の許可を受けないとならない場合

建設業は、商品販売やIT関係とは異なり、許認可業種です。
したがって建設業を営もうとする場合は、原則、行政庁の許可を受けなければなりません。
ただし、次の工事に関しては軽微な建築工事として許可を受けなくてもできる工事とされています。

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●許可を受けなくてもできる工事(軽微な建設工事)

 

建築一式工事以外の建設工事 1件の請負代金が500万円未満の工事(消費税込み)
建築一式工事 下記のいずれか
  • 1件の請負代金が1500万円未満の工事(消費税込み)
  • 請負代金の額にかかわらず、木造住宅で延べ面積が150平方メートル未満の工事
    (主要構造部分が木造で、延面積の1/2以上を居住の用に供するもの)

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営業所が複数の都道府県にある場合

営業所が複数の都道府県にある場合とそうでない場合は、どこから建設業の許可をうけるかが異なってきます。

2つ以上の都道府県に営業所がある場合 国土交通大臣許可
1つの都道府県に営業所がある場合 知事許可

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建設業の許可区分(一般建設業と特定建設業)

建設業の許可は、一般建設業と特定建設業に区分されています。

  • 元請工事を行い
  • 元請として請け負った1つの工事のうち下請に出す外注費の合計金額が、
    • 建築一式工事の場合、4500万円以上
    • それ以外の工事の場合、3000万円以上

の場合には特定建設業許可。
それ以外の場合には一般建設業許可が必要になります。

※契約金額には消費税を含みます。
※同一業種について、一般と特定の両方の許可は受けられません。 |HOMETOP|

指定建設業

指定建設業とは、施工技術の総合性や普及状況などを勘案して政令で定められた業種で、現在、次の7業種が『指定建設業』となっています。

  • 土木工事業
  • 建築工事業
  • 電気工事業
  • 管工事業
  • 鋼構造物工事業
  • 舗装工事業
  • 造園工事業

指定建設業に関しては、特定建設業の場合の専任技術者の要件が厳しくなっています。
具体的には、専任技術者は、1級の国家資格者(施工管理技術者等)、技術士の資格者又は国土交通大臣が認定した者でなければならないと定められています。 |HOMETOP|

許可の基準(許可を受けるための要件)

【経営業務の管理責任者】
法人で許可を受ける場合には、常勤の役員のうち1人が、個人で許可を受ける場合には、本人が、下記のいずれかに該当すること

  • 許可を受けようとする建設業に関して、5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者
  • 許可をうけようとする建設業以外の建設業に関して、7年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者
  • 上記と同等以上の能力を有するものと認められた者



【専任技術者】

  • 建設業許可を受けようとする業種に関する国家資格等を有する者
  • 高校、大学以上の教育機関で、建設業許可を受けようとする業種に関連する学科を卒業後、高卒の場合は5年以上、大卒の場合は3年以上の実務経験を有する者
  • 学歴・資格の有無を問わず、建設業許可を受けようとする業種に関して10年以上の実務経験を有する者



【財産的基礎】
一般建設業許可では、次のいずれかに該当すること

  • 自己資本が500万円以上あること
  • 500万円以上の資金調達能力のあること
  • 直前5年間許可を受けて継続して営業した実績があること


特定建設業許可では、次のすべてに該当すること

  • 欠損の額が資本金の20%を超えないこと
  • 流動比率が75%以上であること
  • 資本金が2000万円以上であること
  • 自己資本が4000万円以上であること


※「自己資本」は、貸借対照表「資本の部」の「資本合計」の額をいいます。
※流動比率は流動資産合計/流動負債合計です。


【欠格要件等】
次のいずれかに該当するものは、許可を受けることができません。

  • 許可申請書若しくは添付書類中に重要な事項について虚偽の記載があり、又は重要な事実の記載が欠けているとき
  • 法人で許可を受ける場合には役員、個人で許可を受ける場合には本人等が次のような要件に該当しているとき
    • 成年被後見人、被保佐人、破産者で復権を得ない者
    • 不正の手段で許可を受けた等により、許可を取り消されて5年を経過しない者
    • 許可の取り消しを免れるために廃業の届出をしてから5年を経過しない者
    • 禁錮以上の刑に処せられその刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者

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登録免許税と許可手数料

許可・更新を受けようとする場合、あらかじめ登録免許税または手数料を行政機関に納付しなければなりません。
登録免許税及び手数料は下記の通りです。
この手数料は行政機関に対する手数料ですので、これ以外に別途、行政書士に対する報酬がかかってきます。

  申請区分 手数料等
東京都知事 新規・許可換え新規、般・特新規 手数料9万円
業種追加又は更新 手数料5万円
国土交通大臣 新規・許可換え新規、般・特新規 登録免許税15万円
業種追加又は更新 手数料5万円

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無許可営業に関する罰則

建設業法における罰則は45条から55条で定められています。
その中で無許可営業に対する罰則は、『3年以下の懲役または300万円以下の罰金』と定められています

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経営事項審査制度とは

経営事項審査制度とは、公共工事を発注者から直接請け負おうとする建設業者が必ず受けなければならない審査です。
経営事項審査は各業種ごとに行われますしたがって経営事項審査を受けていない業種に関しては、公共工事の競争入札に参加することができません
審査の内容は『経営規模』、』技術力の評価』、『社会性の確認』、『経営状況』の分析がそれぞれ行われます。
それらを総合して評価し、通知されるという流れになります。
最近では、民間工事においても、発注の際の指標とされる場合も増えてきています。

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具体的な審査(評価)項目と評価式

経営事項審査の具体的な審査項目は次の5つに大別されます

  • (X1)・・・工事種類別の年間平均完成工事高
  • (X2)・・・自己資本の額ならびに建設業に従事する職員数
  • (Y)・・・経営状況
  • (Z)・・・建設業の種類別の技術職員数
  • (W)・・・その他の審査項目(社会性等)

上記の各項目毎に評点を算定し、次の算出式によりウエイト(重み)付けを行い総合評点(P)を算定します。
なお、下記の算出式は平成20年1月31日の国土交通省の告示で、算出式は、しばしば改正されます。

P(総合評点)=0.25X1 +0.15X2 +0.2Y+0.25Z+0.15W |HOMETOP|

経営事項審査申請の手数料

経営事項審査申請の手数料は下記の通りです

●経営状況分析(Y)審査手数料 13,500円
●経営規模等評価(X、Z、W)審査手数料 8,100円 + (2,300円 × 審査対象建設業の業種数)
●総合評定値(P)請求手数料 400円 + (200円 × 請求対象建設業の業種数)


※経営状況分析(Y)の審査は、財務諸表分析が中心で、財団法人建設業情報管理センターに委任されています。

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建設業界の市場規模

建設工事は、発注者により公共工事と民間工事に分かれます。
公共工事は、都道府県・市町村などの地方自治体が発注者で民間工事は民間発注です。
また、工事の種類により『土木工事』と『建築工事(非住宅・住宅)』に分かれます。
2006年度の市場規模は次の通りです。
なお、地方は公共工事の依存度が大きいと言われているのは、公共工事の方が民間工事よりも比率が高いことを意味し『北海道』『東北』『北陸』『中国』『四国』などが、それに当ります。

2006年度建設投資
総額52兆9,100億円
民間工事(34兆7,600億円)公共工事(18兆1,500億円)
民間土木工事
(5兆3,600億円)
民間建築工事
(29兆4,000億円)
公共土木工事
(16兆3,300億円)
公共建設工事(ハコ物)
(1兆8,200億円)

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建設業界の市場規模の推移

建設市場の市場規模は、90年代のバブル経済からバブル崩壊による平成デフレ不況及び小泉政権下の『民間でできることは民間へ』の構造改革による、公共事業の削減などで1992年の84兆円をピークに下記のような縮小傾向にあります。

建設市場規模民間工事の市場規模公共工事の市場規模
1990年81兆円56兆円25兆円
1992年84兆円52兆円32兆円
1995年79兆円44兆円35兆円
2000年66兆円36兆円30兆円
2005年54兆円34兆円20兆円
2006年53兆円35兆円18兆円

なお、野村総研において2015年までの建設・不動産産業の市場規模予測を次のように発表しています。

  • 2015年度の国内建設投資は45兆円を下廻る規模
  • 事務所・病院は増加、住宅・店舗・学校等は減少
  • 新設住宅着工数は約90万戸まで縮小

また、その中で、積極的な『異業種との提携』『海外展開等』に挑戦していく必要性を指摘しています。

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建設業界の産業特性

建設業の産業特性は以下のように言われています。
下記の特性は、長期的戦略や事業計画を立てる上で当然の前提として最低限考慮しておかないといけない点だと言えます。

  • 内需型産業である
  • 単品受注産業である
  • 屋外産業である
  • 請負業である
  • 三大都市圏を除く地方の建設業ほど公共事業の依存度が高い
  • 重層下請システムによる分業産業である
  • 労働集約型産業である
  • 許可産業・規制産業である
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